基調講演

国際ソロプチミストアメリカ

日本中央リジョン元ガバナー、内科医

山本和子氏

 

 私は30年前、国際ソロプチミスト浜松に入会し、医師の仕事の合間に、環境・教育・保健・人権・国際交流などの分野で活動をしてきた。1985年は国際青年年・国際森林年で、当時の大石武一環境庁長官をお招きし「地球が危ない! 緑を守れ−今私達に出来る事」と題して2回の講演会を行い、環境問題に大きな関心を持つようになった。2000年には国際平和年の「一人の青年に1本の木を」の趣旨に賛同し、浜松市内の都田総合公園に平和の木を植樹し、磐田、袋井、そしてスリランカにも平和の木を贈呈した。

02年春、友達に教えられ、天竜川流域の、間伐されず倒木が放置された森林、山崩れ、河原には不法投棄されたゴミの山を見に行った。その時のショックは忘れられない。浄水場では残留性有機汚染物質POPsをすべて除去することはできない。POPsは体内の脂肪組織に蓄積され、癌や生殖機能障害、内分泌撹乱、脳神経障害などを起こすことが分かっている。女性には胎盤を通して胎児にも影響を及ぼす。私の52年間の開業医生活では、30年ほど前までは花粉症も、不妊症外来などという診療科目もなかった。現在日本の死亡率第1位の癌だが、当時の私の患者には癌はほとんどいなかった。また、最近の文部科学省調査ではADHD(注意欠陥多動性障害児)は学童の5−6%に達しているという。このころから「子供たちの命と健康を守る会」を結成して活動を始めた。大学教授、ガールスカウトリーダー、高校の先生、茶道の先生、市議会議員、医師など10人ほど、持てる頭脳と労力を惜しみなく費やしている。

 05年には政令指定都市・浜松の誕生を記念して「水源保護基金設立推進コンサート 自然、愛、故郷を讃えて」を開催し、水源基金を寄付した。このコンサートに参加した浜松市緑化推進本部の方々が、06年1月に講演会「おいしい水はいきいきの森から」を開催し、「子供たちの命と健康を守る会」に対して30万円の補助金をいただいた。この講演会をきっかけに森をつくることを思い立ち、多勢で佐久間に向かい、植林活動を行った。以来、毎年2−3回、その山のアフターケアを続けている。

 もう一つ、私は30年間ガールスカウトのキャンプのための健康診断を続けているが、09年は8月の東海北陸ギャザリングに参加し、世界の貧困・飢餓・教育・エイズ・環境問題などについて子供たちが討論する姿に感動した。10年は静岡県ガールスカウト創立60周年に当たり、記念事業に何をしたらよいかと相談を受け、私は即座に植林を提案した。

 私は常に突飛な夢が次々と湧いてきて、それを次々に実現したくなってしまう。この私の性質は、遺伝子なのか分からないが、年齢とともに夢が大きくなっていくようだ。私は毎日幸せを感じ、感謝の中で一日一日を精一杯生きているが、私の周りの方々は随分迷惑しているのかもしれない。改めて周りの方々に心からの感謝を忘れてはならないと思っている。

 最後に、一つ私の詩を読まさせていただきたい。

 ◇  ◇  ◇

もう一度始めよう 疲れていても

成功しなくても 失敗して傷ついても

裏切りで苦しんでも 幻想が色あせようとも

涙を流し続けても 誰もあなたの努力に気付かなくても

感謝されなくても 理解してもらえず苦しんでも

すべてがむなしく思えても もう一度始めよう

 ◇  ◇  ◇

 皆さまありがとうございました。