【造園家 井上剛宏氏/蓮華院・奥之院の魅力 玉名商工会議所 高井信彦氏/協働して地域の景観形成】
実践報告は、蓮華院誕生寺の造園計画を手掛けている造園家の井上剛宏氏が「玉名の自然景観と造園」をテーマに報告した。
井上氏は、「庭園というのは土の上に美しい景を描くことであり、見る人にとっても作る側にとっても実に魅力的な世界だ」と定義し、自身のデビュー作となった京都の庭園づくりや、それがきっかけとなって、すべてを任され、一から取り組み始めることになる蓮華院誕生寺(川原英照貫主)の造園計画などを紹介しながら、ものづくりの姿勢、造園に取り組む考え方、ポリシーを披露した。
蓮華院・奥之院の造成計画は「自然を再生する」ことから始めた。90%以上が蓮華院誕生寺の山の中からの移植木で、自然樹形のまま移植した。「いまでは周辺の自然の山が全部溶け込み、蓮華院誕生寺のあり方という形で完成した」と振り返った。
これからは、本院の新たな計画が始まる。「池に浮かぶ五重塔をイメージして、そこに滝を落とすという形で検討している。2年間毎日通って造りあげた京都迎賓館より素晴らしいものをぜひ造りたい」と意欲をみせた。
「蓮華院の奥之院、本院が地域の魅力ある一つの庭園として、これからも受け継いでいただければ大変ありがたい。それが、魅力的な物づくりにわれわれが携わっていく大事な要因だと思っている」と語った。
玉名商工会議所の高井信彦氏が「玉名のまちづくり 今考えていること」をテーマに報告した。
高井氏は、玉名の新しいまちづくりの流れの中で、青年会議所や建築士会、老人会ら多くの市民が参加することによって、まちづくりのリーダーシップが行政から民間へと広がり、多くの成果が生まれたことを紹介した。
「九州新幹線全線開業で便利になる一方、確実に地域の財産が侵された。経済中心から文化や福祉などの価値観に変えていかなければならない」と、これからのまちづくりの方向性を示し、蓮華院誕生寺で進められている景観整備事業を地域のランドマークとすることで、「50年先の歴史文化都市・玉名の景観形成の方向が見えてくる」と語った。
その上で、「行政も企業も地域住民も後継者を育て、ふるさとを残していかなければならない。知恵を出し合い、言葉を掛け合い、協働して地域のよりよい景観形成を実現していきたい」と、期待を込めて語った。
井上剛宏氏
高井信彦氏