【フリーアナウンサー 須磨佳津江氏/花・緑の力が市民との絆生む

 わたしは、ここ10年数年、オープンガーデンの動きを全国各地で取材して回っている。これはもしかしたら日本を変えるのかもしれないなと思った。

 (東日本大震災の)被災地にもオープンガーデン・グループがいくつかあり、岩手の方で被害にあわれた。しばらくすると仮設住宅の近くの土地を借りて花壇を作った。そうすると、人が散歩に出て、そこにいすを置くようになり、「この花、何というのですか」と話し始める。そこに人が集うようになった。花というのは人を集わせるすごくいいツールになっている。「きれいですね」「どうやるのですか」というだけで自然に会話ができる。花や緑の大きな力だ。

 人が集うと社会的にどんなことが起きてくるか。

 浦安でもオープンガーデンで本当に見事な庭を作っていた。ところが、液状化現象で庭に1mの穴があいて「もう何もする気がしない」と言っていた。そこに、被害の小さい地域のオープンガーデン仲間が集まり、励まし、力づけてくれた。「どうぞ」と言うだけで社会貢献への道が開けて、それがまた仲間を作り、絆が生まれて、自分を元気にする。これはお金のかかることでも何でもない。気持ちがあれば何か動くのだということをつくづく感じた。

 わたしが伝えるオープンガーデンは、普通の市民が庭を公開する流れだ。三田でも、最初に4軒が始め、いまでは100軒以上になっている。個人の庭は多種多様なバリエーションがあって、おもしろい。中には「木が嫌い」という庭もあった。多種多様、みんなちがってみんないい。7グループが連携して、兵庫県内にオープンガーデンのネットワークを作っている。わたしはここで人が集うことの意味を教えていただいた。それは、「それぞれが認め合う」ということ。「ミシンが得意」「料理が得意」「種まき上手」「弁が立つ」……。さまざまな人が自分の得意分野を持ち寄る。ある方は「わたしは何も得意分野がなくて」と言った。その時、仲間は「あなたはだれよりも褒め上手。だからわたしはやる気が出る」と言った。みんなで褒め合える仲間が一つの絆をつくり、大きな社会的な動きになっていく。

 北海道の恵庭市では、ニュージーランドのクライストチャーチに刺激を受けて、ガーデンコンテストを始めた。最初は応募も少なかったが、注目を集め始めると、市に「花と緑の課」ができた。街が動いた。業者がフロントヤードを開発し、住宅街を造ったら即完売した。1人の女性が決意したことで、これだけ地域が変わる。「決意する」「思う」ことの大切さを感じている。

 北九州市のある町内会では、犬の糞が公害化していた。「そこを花壇にしたら解決するのでは」という案が出た。北九州市は市民との協働が行政の一つの命題になっており、市が責任を持って花壇を作ろうということになった。ところが、花壇が広くて苗代では町内会の費用が足りない。そこで、みんなで種まきして、いろいろな花でものすごくきれいになった。このようにきれいな花ができて「何が一番よかったですか」と聞いたら、「花できれいになったということじゃない。町内会に結束ができた」ということをおっしゃったのが一番の収穫だった。

 では、みんな真似すればいいかというと、それぞれに歴史がある。玉名にも歴史がある。地域で、自分たちで見つけて、その地域をどういうふうにしていったらいいかと。花を植えるにしても、他にない玉名らしい花植えはどうしたらいいだろうか、これを地元で考えていただいて。考えれば考えるほど愛情が地面に落ちる。それで地域をつくっていただければと思っている。