六甲アイランドCITY ローズガーデン

六甲アイランドCITYの中心をなす親水公園の「リバーモール」が阪神淡路大震災で被害を受けその一部を市民の手でローズガーデンとして再生
六甲アイランドCITYは神戸市が海を埋め立てて造った面積580ha の海上文化都市。このまちの特徴は工業ゾーンと住居ゾーンを緑の丘「シティヒル」により明確に分離し、非常に高い居住性を保っている。その中核を成すのが街の中央に水と緑の親水公園の「リバーモール」があり、市民の憩いの場となっていた。
◆1995年1月17 日の阪神・淡路大震災でまちの中心のリバーモールも被害を受けた。
◆維持管理をしている神戸市は、当初は川を修復して運営していたが、漏水が激しく一部支流については完全な修復はコスト面で困難との結論から、川を埋めての提案があった。
◆住民は街のシンボル的な川を埋めることには反対であり、六甲アイランドCITY自治会は全住民アンケートを取り神戸市と協議をかさね本流を川で残すという条件で一部の支流については住民が維持管理運営をすることでガーデンを作ることに決定。
◆六甲アイランドの南端に位置する神戸国際大学の白砂(都市環境•観光学科)がこの時に期六甲アイランドガーデン構想を発表していたので、自治会、神戸国際大学、神戸市の3者が協議してローズガーデンを作ることに合意した。
◆神戸市がガーデンの基本造成、自治会が維持管理運営、神戸国際大学の白砂伸夫がローズガーデンのデザインと指導、白砂ゼミ生と自治会が共催することで川をローズ
ガーデンに変えて魅了的なまちづくりにする活動が始まった。
◆バラの時期に、街中でバラを楽しむイベントを提案、白砂ゼミ生と自治会が毎年5月にバラ祭を開催している。
◆また、この時期に白砂ゼミ生が来園者にアンケートをとり、六甲アイランドCITY ローズガーデンのまちづくりに対する評価を分析している。
1:阪神淡路大震災による被害リバーモールの一部から水が漏水、維持管理費削減から神戸市が住民に一部のリバーモールの撤去を求める。
2:水のないリバーモール維持費の軽減から、漏水しているリバーモールに水が無くなった。
3:神戸市と住民の対立バーモールの撤去を反対する住民と市が対立し、解決策が模索されていた。
4:ローズガーデン案の採用自治会の住民投票により、水路をローズガーデンにすることが決定したが、神戸市はローズガーデンの維持管理に多額の費用がかかると、この案に反対した。
5:ローメンテナンスで維持できるローズガーデンを白砂が提案し、維持管理を自治会の有志で行うことが決定した。
1:白砂がデザインを担当し、大学のゼミ生、地域住民、地域の小中学生も交えてガーデンづくりがはじまった。
2:ローズガーデンは道路際に設置させていることから、お年寄りや車いすでの見学も可能になり、多くの一般市民に親しまれている。
■取組み前の景観状況
水の無くなった水路は景観的にもいかにも衰退する六甲アイランドを象徴するようで、まちの魅力喪失の象徴であった。また、水路は深さが50 センチあり、事故に繋がる可能性もあった。
■現在の景観状況
華やかなバラはこれからの六甲アイランドの未来を象徴するようであり、美的都市景観の創造に繋がった。横を走る六甲ライナーからもローズガーデンを楽しむことができ、リバーモールの水と緑に加え花が彩りを添える。バラのシーズンにはバラを楽しみながらオープンカフェでお茶を楽しむ人が増え、お年寄りや車椅子の方も自由に楽しめ、都市生活に潤いを与える。
1:農家に学ぶ
一般にバラづくりは難しいと言われているが、ほとんど手間をかけずに花づくりを楽しんでいる農家の庭に学んだ持続可能な植栽デザインである。バラ宿根草を混植し、四季の変化を楽しめる工夫をしている。
2:丈夫なバラ
バラは農薬管理が不可欠だと考えられているが、丈夫なバラの品種を選定することで、素人の住民でも無農薬で栽培できるように工夫している。
3:都市景観とバラ
一般的なバラは背丈が低く雄大な都市景観との調和は難しい。アーチやポールを造形的に配し、ツルバラを絡ませることで都市景観との調和を図った。
4:水路の形状を生かす。
水路は幅2m 長さは80m であり、この形状を生かすことでユニークなローズガーデンができた。
1:六甲アイランドは、震災以前は大変な賑わいを見せていたが、震災以降大手企業の撤退、商店街の衰退によるシャッター商店街化が甚だしく、まちの衰退が顕著になってきた。
2:住民だけでは企業や商店街の撤退を防ぐことは困難で、まちの活性化へのうつ手だてが無く、住民が積極的に関与できるまちづくりコンテンツが模索されていた。
3:ガーデンづくりは住民が誰でも参加でき、目に見えて景観が美しく変化することが、まちづくりの可能性を示唆することになり、まちづくりを行政に頼るのではなく、自分たちでも実践できるという気概を生み出した。
4:リバーモールは大変優れた都市景観であると住民は理解していたが、ローズガーデンにバラが咲くと、それ以上に美しい景観が自分たちの手で実現できることが実感でき、まちの景観づくりに寄与しようと、それぞれのマンションがローズガーデンを計画しはじめた。
5:ローズガーデンを見学に他の地域からも多くの人が訪れようになり、周辺商業施設の集客につながり、まちの活性化へのこつをつかみつつある。
1:住民の有志でローズガーデンファミリーを組織し維持管理を図っているが、さらにグレードの高いガーデンにするために、バラの勉強会、見学会を開催し、技能の向上と住民間の交流を図っていく。
2:神戸国際大学は地域にあって、地域との交流、地域文化の創出、大学の地域貢献をさらに深めていく。