県民の郷土に対する誇りや愛情を育み、活力ある佐賀県の創造のため、美しい景観を呈する地区又は地域を象徴する建造物を、これにまつわる物語とともに22世紀に残すべき価値を有する佐賀県遺産として認定し、その保存、活用を推進する。
佐賀県は、北に風光明媚な玄界灘、南は広大な干潟を擁した有明海という、異なる二つの海に面しており、内陸部は1,000m級のなだらかな脊振山系や天山山系の山々が、その裾野には肥沃な平野が広がっている。また、自然や地形を繋ぎ、景観としての統一感を持たせている川やクリークが流れ、平野に広がる田園や山あいには緑があふれている。歴史公園として整備された吉野ヶ里遺跡をはじめ、旧長崎街道の歴史的まちなみ、有田、伊万里などの伝統産業のまちなみ、城下町や温泉街など様々な景観を有している。
【22 世紀に残す佐賀県遺産制度概要】
〈目的〉
県民の郷土に対する誇り、愛着を育み、活力あるまちづくりを図る
〈認定の経緯〉
自治体等からの申請に基づき、有識者等からなる佐賀県美しい景観づくり審議会
の審議を経て佐賀県知事が認定
〈認定対象〉
地域を象徴する建造物、美しい景観を呈する地区
〈支援〉
建造物の外観修理への補助等、地区の景観の保全活用等に資する活動への補助
【経緯】
■背景
地域のシンボルとなっている貴重な建造物が維持管理等の都合等により老朽化・解体の
恐れ
■平成17 年度 「22 世紀に残す佐賀県遺産」制度創設
「佐賀県遺産」認定し、地域で保存活用しながら建造物にまつわる物語とともに、次世
代へ継承していく
■平成20 年度 認定対象を“美しい景観の地区”にも拡大
平成26 年度までに計43 件(37 の建造物と6 地区)を認定
地域に大切にされている建造物や地区はあるものの、老朽化等により維持が困難や利活用が難しい状況にあった。
建造物外観の改修や地区の活動を支援することにより、地域景観そのものや地域づくり活動の核となりつつある。
“牛津赤れんが館”や“志田焼の里博物館”のように、地域だけでは維持・保全が困難だった建造物等に県が支援をすることで、その地域の歴史や文化(物語)を伝える景観を残し、その核となる施設から地域住民の活動が生まれる機運を作り出している。
22世紀まで残すための工夫ポイント
・佐賀県の地域性・佐賀らしさにこだわる
・地域のイベントまで含めた幅広い補助制度
・認定の際に地域の取組・活動を重視
⇒文化財とは違い、地域での“保存活用”に重きをおきながら、物語とともに次世代へ継承していく。
佐賀市では、長崎街道沿い(柳町)に建つ旧森永家住宅と旧久富家住宅が改修され、公開・活用が開始された。佐賀城下ひな祭りに合わせたオープンで、カフェ等もあることから賑わいを見せている。
また、佐賀県遺産パンフレットやドライブマップによる情報発信により、個人的に遺産を巡りたいなどの声も上がっている。
県内の隠れた地域の宝を探し、佐賀県遺産を増やしていくとともに、制度の認知度向上や各遺産の連携や繋がりを深めるなどより一層活用を図っていく。また、佐賀県遺産を確実に22世紀に残していけるよう、保存・活用の担い手確保に対する支援を検討している。