美し国づくり景観大賞マーク

第1回美し国づくり景観大賞エントリー
美し国づくり景観大賞マーク

市街地再開発事業により生まれた、
地域に親しまれる公園

東京都-市街地再開発事業により生まれた、地域に親しまれる公園
団体名

東京都

目的

市街地の再開発

再開発事業で生まれた都立汐入公園

地域の概況

白鬚西地区は荒川区の東端、大きく折れ曲がった隅田川にはさまれたところに位置する施行面積48.8ha の広大な地区です。住宅・商業・工業の混在する密集市街地で、建物は戦災を免れ老朽化が進み、道路も狭く、防災性の向上が課題となっていました。また、ユニチカ・鐘紡等の大規模工場の移転に伴って人口が大幅に減少し、地域の活性化を図る必要がありました。

情報

範囲
荒川区南千住三丁目、四丁目および八丁目の各一部
規模
約48.8ha
開始時期
昭和58年3月~
実施期間
取組みの実施期間(23箇年)
景観法等の適用状況
なし

経緯

当地区は、海抜0メートル地帯の江東デルタ地帯における震災対策・生活環境の改善と経済基盤強化 を図ることを目的として、昭和44年に策定された「江東再開発基本構想」において、白鬚東地区と共に6つの防災拠点の一つとして位置づけられ、災害時における避難広場(避難人口約12万人)の確保、安全 で快適な生活環境の整備、地域特性を配慮した経済基盤の強化等を目的として東京都施行の市街地再 開発事業を実施しました。

☆市街地再開発事業の経緯
昭和44年11月 江東再開発基本構想策定
昭和58年3月 都市計画決定(汐入地区を除く)
昭和60年11月 都市計画変更(汐入地区編入)
昭和63年7月 第三地区事業計画決定(62 年10月第一地区、63年4月第二地区)
平成元年1月 都市計画変更(スーパー堤防の導入等大規模な計画の見直し)
平成18年3月 広域避難広場「都立汐入公園」完成(面積約12ヘクタール)
平成22年3月 事業完了

景観の創生、再生の取組み前の景観状況

  • 1985(昭和60)年
    1985(昭和60)年
  • 1994(平成6)年
    1994(平成6)年

市街地再開発事業実施前の白鬚西地区は、地区の南側に大規模工場跡地(23.1ha)のほか、日本石油油槽所、都立航空工業高等専門学校や都営住宅等の大規模物件が存在する一方、地区の北部には汐入地区といわれる戦災を免れ、道路も狭く老朽化した木造住宅が密集した陸の孤島のような地域であった。さらに、隅田川沿いは浸水対策のカミソリ堤防といわれるコンクリート護岸が廻り、水面を楽しむといった景観について語れるような地域ではなかった。

景観の創生、再生の取組みによる現在の景観状況

  • 再開発事業で生まれた都立汐入公園(約12.9ha)
    再開発事業で生まれた都立汐入公園(約12.9ha)
  • 再開発事業で生まれた都立汐入公園(約12.9ha)
  • 再開発事業で生まれた都立汐入公園(約12.9ha)
  • 再開発事業で生まれた都立汐入公園(約12.9ha)
  • 再開発事業で生まれた都立汐入公園(約12.9ha)

現在の景観の良好度合、周辺の景観との調和状況をご記入ください。白鬚西地区の再開発事業は、「安心して住めるまち」「いきいきと暮らせるまち」「ふるさとと呼べるまち」に、地区の特徴である「隅田川リバーサイド」を加え4つの柱を軸としてまちなみ景観の基本方針を設定し、群としての建物から屋外工作物やストリートファニチュアに至るまで、調和のとれた「このまちらしさ」を演出し、親しみやすい、魅力ある住空間ヒューマンスケールのまちづくりが完成しました。特に都立汐入公園は、豊かで多様な水辺と緑に彩られた活力と潤いのある『川辺のひろば公園』として、隅田川と公園に連続性と一体感を持たせ、より親水性の高い水辺環境を構成するため、テラスの高さや形態に変化をつけ、スーパー堤防の法面はスケール感のある緑地を形成している。

取組み地域の位置図及び写真の撮影位置・方向

ビフォー・アフターに見る景観向上の成果のアピール点

東京都・荒川区・住民が連携したまちづくりが完了、南千住白鬚西地区が親しみやすく緑豊で魅力ある新しいまちに生まれ変わった。蛇行する隅田川に囲まれたこの地域は、かつて木造建築物が密集した「陸の孤島」だった。

景観の創生、再生の取組みの特色・工夫

・災害時の防災拠点機能を確保しつつ、平常時には都民の憩いの場となるよう、スポーツ施設やリクリエーション施設を配置し、スーパー堤防の導入により隅田川と一体となった親水性の高い公園として整備しました。
・公園計画及び整備にあたっては、「白鬚西地区公園等基本計画案検討委員会」や「公園整備推進委員会」などを設置して地元住民の意見を取り入れた公園整備に努めました。
・公園の名前「都立汐入公園」はまちづくりフォーラムで地元住民の意見を集約して、都区住民協議会に提案され、公園管理者と協議の上決定しました。

  • 防災用トイレ
    防災用トイレ
  • 防災備蓄倉庫
    防災備蓄倉庫
  • 大型遊具
    大型遊具
  • バーベキュー広場
    バーベキュー広場

景観の創生、再生の取組みによる波及効果

再開発事業後の居住形態が中高層集合住宅に変わり、多くの新住民を迎え入れるなど生活環境が激変する地域コミュニティー維持に向け、事業地区内の町会が一つになり、「リバーパーク汐入町会」が平成5年に発足しました。その町会が中心となり、整備された各種の防災施設を活用して毎年実施される区・警察・消防等と連携した防災訓練の実施より、地元住民が担うべき高い防災意識が醸成されている。完成した公園やスーパー堤防のテラスの巡回など、地元住民の自主活動により誰でも安心して利用できる環境が生み出されています。このほか、町会が主催する区立第三中学校と合同の大運動会、夏の汐入まつり、秋の文化祭などには近隣住民も含めた多くの参加者で賑わい、活気ある良好なコミュニティが形成されています。

  • 公園内でのイベント
    公園内でのイベント
  • 防災訓練
    防災訓練
  • 完成記念植樹
    完成記念植樹

今後の取組み

地域の緑の拠点、防災の拠点として、引き続き、行政と地域住民が一体となって汐入公園を育てていくためのイベント、訓練を実施していく。